エヴァ見ました

ネタバレを含むので気にする方はご注意を。
エヴァを見に行きました。
割とワクワクしていました。自分の見てきたエヴァとは全く違う物語が、どう終わるのか期待していました。
この物語にハッキリとした終わりは来るのか、それとも来ないのか。いろんな期待がありました。
各シーンについては人それぞれ感想があると思います。
下半身が踊るパートが無駄に長いとか、誰々がかわいいとか。長い映画なので色んなシーンがありました。
映画自体は見ごたえがあったし、満足はしています。
楽しめました、でも感情がなかなか追いついてきませんでした。
僕が引っかかっている点や感じた点について、以下に書こうと思います。

碇ゲンドウについて

碇ゲンドウは作品の中で圧倒的な存在感を持った人物でした。
謎めいていて、何を考えているのか不明。
目的のためには手段を選ばない人間。
冷酷な印象が強かったです。
これまでの作品でもユイともう一度会うという悲願は描かれてきましたが、今回ほどそれを強調したのは初めてだったように思います。
願いに対してあまりに利己的な様子は初めて見る碇ゲンドウでした。
これまでと目的も手段も大きくは変わっていないのに、とてつもなく人間臭さを放っていたように感じました。
一言で表すなら情けない男に見えました。
これは僕の感じ方が変わっただけではなく、描き方も変わっていると思います。

碇シンジについて

碇シンジはQでカヲルを失い、また自分の殻に閉じこもってしまいます。
しかしアスカの思い、生き残った人々との触れ合いを通して傷を癒やしていきます。
非常に明るい回復の方法だと感じました。
気味が悪いくらいに。
これまでは辛いことがあっても、それを上回る危機や困難に対してまた立ち上がっていた印象があります。
もちろん他のキャラクターからの励ましや気遣いはあったのですが、今回ほど社会的な繋がりは大きくなかったと思います。
これまでと明らかに違うのは、社会を通して彼がまた立ち上がった点なのかなと思います。
チルドレン達は容姿はそのままでも、精神的には大人の年齢になっています。
シンジだけは少年の姿で少年のまま。
今回の彼の回復は、周りの大人たちが本当に純粋に手を差し伸べた結果でしょう。
彼にとっては大事な人たちから認められる、助けられる経験は喉から手が出るほど欲しかったものだろうし、そしてそれが揺るがないとまた信じられるようになったのだと感じました。
渚カオルに半ば依存して得た明るさとは全く違う、彼なりの明るさを取り戻したと思います。

アスカについて

アスカは精神的に大人になり、メタ的な視点で物事を見るようになったと感じました。
シンジへの想いは怒りもあるけれど、どちらかというと自分より小さいものを見る愛情だったと思います。
劇中で「ガキに必要なのは母親よ」(合ってるかはわかりません)という発言をしていることからもわかります。
シンジへの恋愛感情も自分が作られた存在であることを自覚し、区切りをつけています。

真希波について

謎の人物でしたが、シンジへの想いはからかいなどではなくガチでしたね。
絶対に迎えに来てくれるお姉さんになっていました。
ゲンドウがシンジの中にユイを見出していますが、彼女もそうだったのかもしれません。
ただ、ユイへの愛情だけでの行動には見えなかったので、ループの中で感情が変化したのか、それとも別の要因があるのかこの辺りはもうちょっと考えたいなと思います。

僕自身がモヤモヤしたところ

割と良かったという感想を書いた気がしますが、見終わった時は割と悪い感情でした。
というのもラストシーンのシンジが笑顔で「さあ行こう」と言っていたところが良くないと感じたからです。
これまで散々人間性を歪ませてきた(外的要因が大きいですが)彼が大人になった姿で前向きな言葉と明るい笑顔を纏うことが受け入れられなかったのです。
終盤にシンジがゲンドウを精神的な面で越えていく場面でも感じたのですが、急に大人になりすぎじゃないかと思いました。
物語の中での長い長い前フリがあったにも関わらず、僕の中の碇シンジはそんなに急に大人になれなかったようでした。
大人の姿になったとしても、そんな笑顔と言葉を発するような人間には、僕の中でどうしてもなりませんでした。
感情が追いつきませんでした。
僕の中の子供の部分は成長した碇シンジを受け入れられなかったのだと思います。
頭ではわかっていても、心はなかなか碇シンジが成長したのをわかってはくれません。
だって、彼らがチルドレンで無くなるということは、エヴァの物語は終わるということだからです。
ラストシーンを見て、終わったということを理解はしても、心はまだ追いついてきそうにありません。
映画が終わって家に帰ってから、桜流しを改めて聞きました。
拗らせたオタクはもう少し消化に時間がかかりそうです。

長く書いてしまいましたが、ここまで読んで下さりありがとうございました。

2020年を振り返る 日記