SOFT SKILLSを読んだ感想

こんにちは、たかしです。
これはみすてむず いず みすきーしすてむず Advent Calendar 2023の 23 日目の記事です。

みすてむずは分散型 SNS であるMisskeyのサーバーです。
主に IT に関わる人が集まっているサーバーで、テーマはフリーです。 今回のアドベントカレンダー企画もテーマはフリーとのことなので、SOFT SKILLS という本の感想を書こうと思います。

どういう本なのか

ソフトウェア 開発 業界 で 評価 を 築く ため の 手順 と 同時に、 肉体的、 知的、 精神的 により 強く 健康 に なる ため の 方法 を 教え て くれる 本
ジョン・ソンメズ. SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第 2 版 (p.16). 日経 BP. Kindle 版.

本書について、という章からの引用です。
ソフトウェア開発者がより良く歩んでいくための考え方、方法について解説されています。
自己啓発本とは違って具体的かつ実体験をもとに簡潔に書かれているので読みやすいです。

この本を読もうと思ったきっかけ

みすてむずで慕われているリンさん @fruitriinが是非読んでほしいと紹介していて、興味を持ったのがきっかけです。
プロフィールに書くくらいに推しているので、余程いい本なんだろうなと思い、手に取りました。
結果として僕のこの判断は間違っていませんでした。

おおまかな内容と感想

なかなかボリュームのある本なので、おおまかにどんな内容が書かれているのか紹介します。

第 1 部 キャリア

キャリアを構築する方法について書かれています。

  • キャリアの目標設定
  • 良い履歴書の作り方
  • 面接をハックする
  • 人間関係
  • テクノロジーに宗教のように接するな

などが主な内容です。
履歴書の作り方を解説している本は初めて読んだので驚きました。
面接をハックする、という題からもわかる通り合理的かつ実践的でソフトウェア開発者の考え方に合う内容なので楽しみながら読めました。
この章を読んだ時点で「この本は役に立ちそうだ」と感じられたので、掴みとしては完璧ですね。

「テクノロジーに宗教のように接するな」という章が特に良かったです。
個人的に好きなテクノロジーはありますが、それ以外を過度に批判したり認めないなどの考え方はやめようと改めて思えました。
それは自分の成長や視野を遮る原因になってしまうので、今後も気を付けていきたいと思います。

第 2 部 セルフマーケティング

セルフマーケティング、つまり自分を売り込む方法について書かれています。

  • パーソナルブランドの構築
  • 成功するブログの作り方
  • 他者のために価値を生み出すことが重要な理由

などが主な内容です。

マーケティングというとあまり良い印象を持たない人も多いかもしれません(自分もそうです)が、ここでは「他者に価値を提供すること」を正しいセルフマーケティングの方法としています。
広告を打ったり、いかがでしたか?記事を量産することでは無いもっと有意義な方法を紹介しています。
具体的にはブログ、ポッドキャスト、動画、執筆活動、講演活動 などによって自分を発信することです。
そしてそれを通じて自分のイメージを構築していけば自分をポジティブに知っている人が増えて、キャリアや人間関係につながっていくと筆者は言っています。
これは後半の章で筆者の体験からも語られます。

これまでは自分がセルフマーケティングをする意味があまり無いと思っていました。
それは SNS で目立ちたい人や芸能人がすることだと思っていましたし、あまり良い印象も持っていませんでした。
しかし、他者のために役立つことを発信してそれがキャリアに繋がっていくと考えると非常に良いことに思えます。
私は Web 上のブログや OSS に非常にお世話になっているので、自分も他の開発者の役に立ちたいです。
キャリアやビジネスと聞くと殺伐としたイメージがどうしても自分の中にありましたが、自分が良いと考えていることを実行することでキャリアやビジネスに役立つのは素敵だと感じました。

第 3 部 学習

自己学習の方法について書かれています。

  • 学び方
  • 10 ステップのある学び方のプロセス
  • メンターを探す
  • メンターになる
  • 教えることが最高の学習方法になる理由
  • 知識の中の隙間を見つける

などが主な内容です。

エンジニアやプログラマと呼ばれる人たちは自己学習を程度の違いはあれどしていると思います。
筆者はソフトウェア開発者が身に着けられる最も重要なスキルのうちの一つが独学だと語っています。
これは私も同感です。私は Web の領域に興味があるので特に顕著に感じますが、技術やそのトレンドの移り変わりはとても激しいです。
そして学習しなければならない範囲も広くなっているので、独学で学ばないとどうしようもない現実があります。

筆者は独自の 10 ステップの学習プロセスを紹介しています。 内容としては一般的なものですが、最後のプロセスとして「教える」ことを勧めています。
誰かに教えることで自分の中の知識を分析して整理することが出来るため効果的だそうです。
私自身も今この記事を書きながら SOFT SKILLS を読んで得たことや感想を整理できています。
教えるというプロセスをブログポストや Youtube 上に動画して公開することで 2 部にあるセルフマーケティングの一環にもなりますね。

第 4 部 生産性

自己の生産性を向上させるための方法や考え方について書かれています。

  • すべては集中からはじまる
  • ポモドーロテクニック
  • 自分に対して責任をとる
  • 燃え尽きの対処法
  • ルーチン、習慣の重要性
  • ハードワークの価値と重要性

家で仕事をする機会があってからは特に感じることですが、我々の周りには集中を削ごうとするものがたくさんあります。
ここではそれらを振り切って集中する方法、考え方について説明されています。
結論から書くと魔法のような方法で人を集中させる方法は無いのですが、一度集中モードに入るとある程度は集中できると筆者は言っています。 なので集中する時間を増やすためのテクニックや方法が紹介されています。
有名なポモドーロテクニックも紹介されていますが、私はこのテクニックに何の意味があるのか長年の疑問でした。
筆者はポモドーロテクニックを使って作業量の見積もりと計測を行っています。
これには非常に納得しました。単純に 25 分の作業と 5 分の休憩を繰り返すだけでは特に意味がなく、作業の計測をすることで自分の作業量を把握することができるのです。
そして、ポモドーロの単位を使って目標設定もできるのです。
私は今まで作業時間の見積もりをするのが非常に苦手でした。方法もわかりませんでしたし、先輩に聞いても具体的には教えて貰えませんでした。
(先輩に見積もりミスが多かったことを考えると、おそらく先輩も感覚でやっていたのだと思います)
これからは自分の苦手を解消できる可能性が高くなったので非常にうれしいです。 私は早速この記事をポモドーロテクニックを使って書いています。
そして、今までも執筆ペースからたぶんあと 2 ポモドーロほどで書き終わると見積もることが出来ています!

この章の重要なところは他にもあり、習慣の重要性とその作り方です。
自分を形作るのは習慣だと言っており、毎日少しずつ取り組むことでしか前には進めないと書いています。
それは本当にその通りだと思いますが、出来たら苦労しませんよね。
筆者は「自分に対して責任をとる」ことでモチベーションを保つように促しています。
モチベーションを自分の内側から起こる内発的モチベーションと、外部からの賞罰によって引き起こされる外発的モチベーションに分けています。
自分への責任とは自分に対して規則を作り、自制心を保つことだと筆者は書いています。
とても難しいことに感じます。筆者も難しかったと振り返っています。
筆者は自分の経験を振り返って自制心を保つ方法を解説しています。
魔法のような方法はなく、習慣を作って少しずつ慣れていくしかないようです。
これはルーチン・習慣の重要性とも繋がっていて、ルーチンが自分を形作るのだと説明されています。

耳が痛い言葉ですね。わかってはいるけれど出来ないです。
ただ、やるしか方法は無いというのが事実です。
筆者は小さなルーチンでいいから長く続けることが大事だと語っています。

第 5 部 資産形成

資産形成の方法について書かれています。
ソフトウェア開発者の本になぜ資産形成が?と思いましたが、これは筆者の考える幸せや豊かさと関連しています。

筆者は大金持ちになるよりも豊かになることがずっと大切だと説いています。
筆者は受動的な収入を受け取れるようになり、その中で生活できるようになればそれは豊かな人だと書いています。
そのために継続的な収入を得られる資産を形成するべきだと主張し、長期的な不動産投資を進めています。
そしてそれによって得られる利益の中で満足できればそれが多額の利益でなくても経済的な自由を得られた状態です。
これは国や経済状況やその人の収入によって実現の可否が変わることなので、その人にあったプランを選べばいいのかなと思います。

これは私が要約するなら、欲望を制御し金銭自体への執着をしないこと、かなと考えます。
お金持ちになっても破滅する人はたくさんいますし、満足できない人もたくさんいます。
人間の欲望は際限ないので、十分を知りません。
しかし、真に豊かな人は十分を知っています。それは幸せな状況を幸せとして素直に受け取れるからです。
今以上の幸せを求めることを悪いとは思いません。ただ、それを金銭のみに求めて執着してしまうと絶対に満足できません。
金銭からの解放が重要なのです。筆者は FIRE 的な方法でそれを目指しています。
それが信仰なのか、哲学なのか、自制なのかまた違う方法なのか、人それぞれ方法があるだけのことだと思います。

この章の良いところは筆者の人生の紆余曲折が赤裸々に書かれているところです。
ここまで読むと筆者は超人なのかなと思ってしまうのですが、自分と同じように悩んで苦しんで進んできたことがよくわかります。

第 6 章 フィットネス

フィットネスについて解説されています。
内容は省きますが、筆者は体作りが大好きなようでかなり熱心に解説されています。
どうしても不健康な生活を送りがちなので定期的に運動していきたいですね。

第 7 章 マインドセット

ポジティブであることの重要性、それを助けるためのストア哲学の考え方が解説されています。
人それぞれ考えがある部分ではあると思いますが、ポジティブであることは大事だと思います。

全体的な感想

この本の全体を通して流れているテーマは自制心を持って継続して努力をすることだと感じました。
これは非常に難しいことですが、筆者は毎日少しずつやればできると励ましてくれています。

巻末にある まつもとゆきひろさんの解説でも触れられていますが、この本を読んで筆者のようになれるかと言われると怪しいものがあるとは思います。
能力も状況も違いすぎて、自分ではここまで成功することはできないかなと正直思うところはあります。
しかし、筆者が後半で語っているように、成功や豊かさというのは自分がそれに満足することなのです。
自分が豊かだと思えばそれは豊かだし、幸せだと思えれば幸せなのです。

筆者はアメリカで暮らしていて、日本よりも資本主義の色が濃い社会で生活しています。
そのため、日本に住んでいる僕らが思うよりも経済的な自由というのは重要なテーマなのだと思います。
日本の社会は働くことが善であり尊いことだとされているので、そこから脱するために全力で頑張るというのはなかなか動機にならないのかもしれないと思いました。
しかし、本質的なところは FIRE することではなくて、自分を支配している価値観からの解放なのかなと思います。
それは金銭への過度な執着かもしれないし、容姿へのこだわりかもしれません。薬物かもしれないしギャンブルかもしれません。

筆者は自分の自由に制約をかけている金銭的な枷に抗い、そのために努力をし、自分の考える豊かさを掴みました。
この本の全てを真似することは不可能ですしその必要は無いと思いますが、筆者のその姿勢を一番見習いたいと強く思いました。

ここまで意識の高い感想を書いたのですが、今日も僕はゲームしかしてません。
でも、これから緩く頑張っていきます。そう前向きに思えることが今の僕の幸せです。

おわりに

最後まで読んで下さってありがとうございました。
SOFT SKILLS はとても良い本でした。
筆者の体験や知識が素直に書かれていて純粋に本としても楽しめました。
私の人生に良い影響を与えてくれることは間違いないです。

これからもこのブログで日記を書いたり、技術的なことを書こうと思っているのでよろしくお願いします。
では、また。

オートバトラーについて 2023年を振り返る